1.環境と開発に関する中国国際協力委員会 
  (China Council for International Cooperation on Environment and 
  Development)について | 
   
   
   
   1992年4月に設立された非政府組織で、環境に配慮した持続可能な開発戦略について世界中の専門家が審議し、中国政府トップに提言を行っている。本会議(議長:温家宝・国務院副総理)は、毎年1回開催され、実働組織であるワーキンググループ(WG)及びタスクフォース(TF)からの活動報告と共に、中国政府への提言を審議・決定してきた。 
   本会議委員及び各WG・TFに2名づつ配置されている議長は、中国側・外国側ほぼ同数で構成され、中国側委員は環境・開発関連部局の大臣・副大臣クラスと研究者、外国側委員はカナダ・欧州・アジア各国政府、国連環境計画(UNEP)や世界銀行などの国際機関、その他有識者が務めた。 
   日本からは、委員として福川伸次委員(GISPRI顧問、電通総研所長)と石坂匡身委員(石油公団副総裁)の両氏が、また「クリーナープロダクション(CP)WG」の議長として慶應義塾大学・井出亜夫教授が活動に参加してきた。 
   
   
   
  
   
  
   
   委員、各WG・TFの共同議長、政府・省からの招聘者、オブザーバー等約100名が参加した。温家宝議長は初日のみの出席となったが、出席したすべての委員及びWG・TF共同議長に感謝状を直接手渡し、これまでの労をねぎらった。また、副議長である解振華・国家環境保護総局長及びLeonard 
  M. Good・カナダ国際開発庁(CIDA)長官はレセプションを含めてすべての議事に参加し、同じく副議長の曲格平・全人代環境資源保護委員長もほとんどの議事に参加した。 
   日本からは、GISPRI木村専務理事(福川委員の代理)、石坂委員、井出亜夫CPWG共同議長の3名が正式メンバーとして出席した | 
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  (1)温家宝議長あいさつ 
  
	- 20世紀最後の5年間、中国は環境と発展の両面で大きな進歩を遂げた。今、我が国の環境と開発に対する取り組みは、重要な岐路に立っている。経済の発展と再生を加速すると同時に、経済的利益・社会便益・自然便益の統合への配慮が必要であると共に、環境保護と資源の持続性ある利用や環境保護における科学技術と市場原理の役割について注目していかなければならない。
 
	- 中国政府は第10次5ヶ年計画において、(1)自然破壊の進行を阻止すること、(2)中国全土の主要汚染物質の総量削減、の2つの目標を掲げた。そして、これを達成するためのタスクとして、i)経済再生の加速、ii)環境インフラ整備のステップアップ、iii)自然再生と保護、iv)環境保護のための運営メカニズムや科学技術発展メカニズムの研究、の4項目を掲げている。
 
	- チャイナカウンシルは、世界の英知を集積し、中国政府の科学的決断にとって有益な提言をしてきた。政府は、チャイナカウンシルが第3フェーズにおいても重要な役割を果たし続けることを期待している。
  
  
   
  (2)張坤民事務局長による事務局報告 
  
	- 昨年、朱鎔基国務院総理に提出した提言の採用状況について、これまでに国務院の14部・委員会と7省から報告を受けた。その多くは、提言が現行の政策に沿ったもので、かつ、中国で持続性ある発展をプロモートする上で極めて参考になるとの意見であった。
 
	- 各WG・TFには、通常の活動と併せて、過去5年間の活動を総括していただいた。各WG・TFの活動報告は、その成果をすべて反映したものとなろう。
 
	- 事務局は、様々なルートや機会を捉えてチャイナカウンシルの活動資金を集めた。その結果、オランダ政府は45万ドルの資金援助を確約し、ノルウェー政府は「生物多様性WG」の窮状に鑑み、同WGへの資金援助に同意した。また、ドイツは複数年かつ使途を限定380万ドルとなった。
 
	- 第3フェーズの開始に向けて、事務局は以下の準備作業を行った。
 
   
   ○ 「Terms of Reference for CCICED Phase III」を作成した。 
   ○ 現在及び潜在的資金協力機関を対象にした説明会を開催した。 
   ○ 国務院の19部局に第3フェーズにおける検討項目の洗い出しを依頼し、回答を集約中 
   ○ TF設置の手続き案を作成し、複数のWG及びカナダ側にコメントを求めている。  
   
   
  (3)WG/TF共同議長会議(10/12開催)報告 
  
  - 共同議長会議は、第3フェーズの開始を支持すると共に、以下の4点を強調したい。
 
	  ○チャイナカウンシルの活動と運営が持つ高い価値とユニークさを維持・発展させること 
	  ○WGが持つ資産を理解し、維持・強化すること 
	  ○「純粋科学」とハイレベルからの要求とをバランスさせること 
	  ○資金供給を改善すること 
  - 共同議長会議は、これまでに築かれた強固な基盤が第3フェーズの成功に貢献することを期待する。
 
    
   
  (4)各WG/TF報告 
  
  - 各WG/TFから、過去1年間及び第2フェーズにおける活動の総括報告を受けた。報告を行ったWG/TFは以下のとおり。
 
  【WG】 
	  Energy Strategies and Technologies Sustainable Agriculture 
	  Pollution Control Cleaner Production 
	  Biodiversity Trade and Environment  
	  Environmental Economics Environment and Transport 
	  Enterprises’Development and Environment 
  【TF】 
	  Forest and Grasslands 
	 
  - このうち、井出共同議長が行ったCPWGの活動報告では、中央政府レベルから省・市レベルに至るCPの研究及び啓発活動を行ったことが紹介され、その成果の一つとして、中国で初めてのCP法制定の準備が進められており、2003年3月に施行予定であることが挙げられた。また、第3フェーズにおいても、CPの適用拡大を目指した活動を継続すると共に、リサイクルや工場緑化等の活動も行いたいとの提案を行った。
 
   
   
  (5)第3フェーズについて 
  
  - 第3フェーズについての意見交換が行われたが、具体的な案の提示や検討は行われず、今後、正副議長及び中・加両事務局で詳細を詰め、今年中に提示されることになった。
 
  - 石坂委員より、資金メカニズムに関するTFを設置したい旨、意思表明があった。
 
  - CPWG井出共同議長より、CPに関連するTFの設置とそれに対する人的・財政的貢献を行う意思表明があった。
  
   
  (6)提言について 
  
	- 事務局から示された「提言案」は各WGの第2フェーズでの活動成果をサマライズしたもので、出席者から担当WG部分への加筆修正要請が相次ぐと共に、「包括的記述がない」等の指摘があった。
 
	- 本会議終了後、委員及びWG共同議長が全人代を訪問して李鵬・全人代常務委員長に面会し、提言を手交した。
  
	  
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